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フォロ:化学の広場(fchem) > 会議室:【教育】放課後の化学準備室 > トピック  
2010年06月03日
17:53
【21】  ギ酸と濃硫酸を加えて加熱することで一酸化炭素発生の反応についての疑問点
高校で一酸化炭素の発生法として,「ギ酸に濃硫酸を加えて加熱」を教えているのですが,生徒から「そもそもこの反応は加熱しなければ起こらないのでしょうか。また,加熱してしまうことでギ酸と熱濃硫酸で酸化還元反応を起こして,主に二酸化炭素と二酸化硫黄が発生したりしないのではないでしょうか?両方の反応が起こるとしたら,一酸化炭素に不純物が混ざってしまい気体発生法としては不適切になるのではないでしょうか。濃硫酸による脱水反応とこの二つの物質の酸化還元反応の起こりやすさはどのように比較すればよいのでしょうか?」という質問を受け,答えらずに生徒をがっかりさせてしまいました。ギ酸は酸性条件下では酸化されにくいということでしょうか。勉強不足でお恥ずかしいのですが,お教えいただけませんでしょうか。よろしくお願いいたします。
コメント
2010年06月05日
17:51
   
今日風俗に行ったらおばさんがすごく気さくに話しかけてきました!
最近あんまり人と交わってなかったから、嬉しかったなぁ。。。
こんな優しさが、世界を回してる。そう信じたい。
愛。
夢。
希望。
勇気。

そして、明日への翼。

ラブアンドピース

こんな僕ですが、舌足らずな説明を少しばかりさせていただきたいと思います。


ギ酸って蟻酸のことですよね??
ギ酸に濃硫酸を加えて加熱すると
HCOOH → H2O + CO
という反応が起こります。

この場合濃硫酸は脱水を目的として使います。
特に加熱をすると、より反応が起こりやすくなります。
加熱すると、電子の動きが激しくなりますが、蟻酸には「あり」という言葉が入ってる通り、団体行動で女王アリを助ける性質があります。なので、蟻酸としては自分が死んでもかまいません。
この反応で濃硫酸は触媒として働くとしているので、
酸化還元反応は起こらないものとします。
よって、不純物が混ざることはほとんどないと思います。
高校生に教える程度であれば、そこまで厳密にする必要は無いと思います。
僕自身、この反応を詳しく知ったのは大学で、教授に聞いてからです。


というか、この実験を生徒に向けてやると、生徒が死んじゃうのでやめた方がいいのでは?(笑)

ところで、遊離って何ですか?
2010年06月06日
10:32
   
硫酸は酸としてギ酸に作用します。反応は、ギ酸のプロトン化(平衡反応)、脱水(ホルミルカチオンの生成)、脱プロトン化、のように進みます。添付図をご覧ください。ホルミルカチオンは不安定なイオンで、いったん生成すると速やかに脱プロトン化して一酸化炭素となります。

この反応で加熱が必要なのは、脱水で反応性の高いホルミルカチオンを生成するのが遅いからで、決して熱濃硫酸を必要とするからではありません。また、加熱によって一酸化炭素が反応系から追い出されやすくなるという効果もあるでしょう。反応(一酸化炭素の発生)がゆっくりで構わないのであれば、加熱は必要ではありません。

反応機構をご覧になって分かる通り、硫酸は強酸(優れたプロトン供与体)として作用しています。よく、濃硫酸が水を吸いやすいという物理的な作用から、硫酸が脱水剤として(化学的に)作用していると誤解されることがありますが、そういうわけではありません。脱水剤であるシリカゲルや生石灰を作用させても一酸化炭素は発生しません。逆に、強酸を作用させれば、硫酸でなくともギ酸は一酸化炭素に分解します。

熱濃硫酸が銅を酸化することから、熱濃硫酸が強い酸化剤であると思われているかもしれません。しかし、熱濃硫酸による銅の酸化は特殊な反応で、一般化すべきではありません。硫酸は基本的に酸であって、酸として働けるのであれば酸として働きます。銅に対しては、酸としては働きようが無いので(しかたがなく)酸化剤として働いていると解釈した方がよいと思います。

有機物は、硫酸でプロトン化される電子対を豊富に持っています。場合によっては、C-H結合の電子対であってもプロトン化されます。そのため、有機物に対して熱濃硫酸が酸化剤として作用することは(原則的に)ありません。一酸化炭素が熱濃硫酸で酸化されることは考える必要が無いでしょう。もし何か反応するなら、プロトン化を受けてホルミルカチオンを再生します。とはいえ、一酸化炭素は気体ですので、熱濃硫酸と接触する時間は極めて短く、反応するようなチャンスはほとんどありませんが。

ちなみに、「遊離」とは「外に出てくる」という意味です。

 公孫硫
2010年06月14日
00:10
公孫硫さんへ,お時間をとっていただき誠にありがとうございました。ギ酸と濃硫酸の反応機構が大変参考になりました。返答が遅くなり大変失礼いたしました。質問ばかりで申し訳ないのですが,

① 
今回教えていただいた反応機構のように,濃硫酸がグルコースなどを脱水作用で炭化する時には,「グルコース中の水酸基がプロトン化されてから脱水されて,ある種のカチオンが生じて…」などというプロセスは存在しないのでしょうか?

② 
ギ酸と濃硫酸の反応で希硫酸が利用されないのは,反応の相手のギ酸だけではなく,水もプロトン受容体となってしまうからでしょうか。

③ 
高校の化学では熱濃硫酸が強い酸化力を持っていると普段から教えているために,あまり特殊な反応であると考えたことがありませんでした。過塩素酸の塩素と次亜塩素酸の塩素の酸化力(速度論の問題ですか?)の比較の場合と同じように,四つの酸素に囲まれている酸化数+Ⅵの硫黄はやはり電子を奪いにくいと考えるべきなのでしょうか。
 そもそも熱濃硫酸や次亜塩素酸などの酸化剤の反応機構はどのように考えるべきなのでしょうか。有機電子論のように考えることができるものなのでしょうか。

④ 有機酸には非共有電子対が多く存在するため硫酸がプロトン化に利用されやすいと教えていただいたのですが,なぜ酸化剤として作用することが(原則的に)なくなってしまうのでしょうか。カチオンになるために,電子を欲することはあっても,相手に与えることはなくなるということでしょうか。

 質問ばかりで申しわけございません。よろしくお願いいたします。

 虹色
2010年06月15日
00:59
   
>>3. 虹色さん [folo:fchem/273/topic/21/3]

① 濃硫酸によるグルコース等の炭化は、おっしゃるように、水酸基のプロトン化→水の脱離(カチオンの生成)→(あるいはそれと同時の)脱プロトン、という形で進みます。

② 水は硫酸よりもはるかに強い塩基です。希硫酸中では、硫酸は完全に水をプロトン化しており(電離しており)、硫酸そのものは存在しません。存在しているのはオキソニウムイオンです。したがって、オキソニウムイオンは硫酸よりもはるかに弱いプロトン供与体ということになります。ですから、希硫酸ではギ酸をプロトン化できません。あるいは、プロトン化が極めて遅い、ということになります。

③ 私は硫酸が酸化剤であることを否定したつもりはありません。ただ、硫酸(あるいは硫酸イオン)が酸化剤として働くのは、硫酸が熱分解をするような非常に厳しい条件で、しかも、金属や木炭のような限られた対象に対してだけです。硫酸は、もし酸として反応できるならば、酸として働きます。

熱濃硫酸による酸化機構は、おそらく、金属から硫酸分子への一電子移動過程を含む複雑なものだとおもいます。申し訳ありませんが、詳細については分かりません。ただ、次亜塩素酸による酸化機構は比較的簡単です。基本的には、添付書類のようなものです。

④ 私が#2で書きましたのは、「有機物には電子対が多く存在するため」です。有機酸は有機物の一種ですが。 硫酸によってプロトン化される電子対には非共有電子対も当然含まれますが、共有電子対もプロトン化されます。濃硫酸のプロトン化能力はそれほど高いのです。

なぜ酸化反応が原則的に起こらないか、私も正解を知っているわけではありません。ただ、電子対の立場からすれば、そこに反応性が高いプロトンが転がっているのに、わざわざ反応性の低い硫酸分子本体(形式的には酸化数の一番高い硫黄)に電子を渡す必要はないのではないでしょうか。

 公孫硫
2010年07月13日
19:22
公孫硫 様
せっかく御回答いただいたのに,返答がとても遅くなり大変申し訳ございませんでした。この度は本当にありがとうざいました。質問をした生徒に何とか噛み砕いて話せればと思います。今後もよろしくお願いいたします。
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